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COEURモデル(5)Respond – 対応する

コンパッション(慈愛)を行動に変える

マーサ・ラスレーの著作「Facilitation with Heart」から、COEURモデルについてご紹介します

普遍的なニーズを満たし、グループを前進させるために、どのような行動をとることができるでしょう。

それは、(欲しいものは何か)と尋ねるのと同じくらい、単純でもあり複雑でもあります。私たちは人々に提案を出してもらうようにと奨励しますが、その際に大事なのは、それに執着したり硬直するのはなく、別の戦略にもオープンであるということです。そうすることによって、立場によって身動きが取れない状況に陥ることなく、自分の意見を持つことができるのです。私たちはすべての人のニーズに注意を払い、グループの全メンバーの価値観が尊重されるように提案を調整します。

確かにすべての人の願いを盛り込むことは骨の折れることです。けれども、すべての人が、自分のニーズが重要にされていると感じているならば、一人ひとりが、その瞬間に起きていることに対して心を開いていくことでしょう。最終的には、グループが集合的にアクションプランを作成し、誰がいつ何をするかを決めて行きます。
解決策を実装していくにあたり、誰もが自分の役割を知っています。確かに自分が最初に求めていたことが反映される人ばかりではないかもしれません。けれども、すべての人のアイデア、提案、貢献が結果に反映されることによって、その選択肢はさらに魅力を増したものとなることでしょう。なかには興奮する人もいることでしょう。より慎重な態度をとる人もいるかもしれません。けれども、グループ全体として捉えると、受け入れられ、前進するに十分なものとなっていることでしょう。
ファシリテーターは、深刻な異議がある人はいないかと尋ねたり、質問のハードルを上げて、どうしても受け入れられないという人はいないか、と尋ねたりすることができます。対話と解決策の共創の段階における意欲のレベルは、実施段階における責任感に影響を及ぼすのです。
ファシリテーターはコンパッション(慈愛)を行動に変え、次のことを行います。

・遠慮することなく本当に欲しいものは何なのかと尋ねる
・すべての利害関係者のニーズを統合する包摂的な選択肢を創出する
・すべての人の貢献が計画に反映されるように、リクエストをとりまとめる
・持続可能な合意を特定し、誰がいつまでに何をするかを明確にする
・計画の進捗状況の確認のためのエンパワリングな構造をつくる